劇場版 SPEC〜天〜
公開日:2012年 4月
出演者:戸田恵梨香 加瀬亮 竜雷太 神木隆之介
ドラマ「SPEC 〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」
の続編SPドラマ翔の続編の劇場版~天~
まず見るべき順番がややこしい。うっかり通常ドラマのあと映画の結を2本借りたが、全然話が繋がらなかったので慌ててネットで確認し、翔と天を借りてきた次第。
ドラマを見る順番は、翔→劇場 天 →零→劇場 結(漸ノ篇→爻ノ篇)
と、なるらしい。
SPドラマと映画はドラマ本編を見ていないと意味分からないので、まずは1時間ドラマを見てからにしよう!
さてSPEC天はあの堤幸彦さんの監督作品。もともとドラマにはトリックと似たテイストを含んでいて、端的に言えばケイゾクの続編にトリックを足したもの。刑事ものながら毎回犯人は非科学的な能力を使う者ばかり。
その辺はミステリーとしては成立しないほど特殊な能力ではあるが、犯人逮捕にいたるまでの経緯や謎解きっぽく、推理ものとしては反則でもエンターテイメントとしてはなかなか面白かった。
劇場版の1つ前のSPドラマ翔もなかなかおもしろかった。北村一輝の演技もすごかったし(くどいけど)最終回で残されてた謎もうまく解き明かしてくれた。そして翔のおわり際、吉川がミイラになって殺されていた。
この謎も天で明かされることになるわけだが、どうしたことか…映画版で解き明かした真相はひっどい陳腐なものだった…。
だいたいなぜあんなに大味にしてしまったのか。
劇場版~天~の出来栄えを象徴するシーンがあるが、それは伊藤淳史の手が途中から巨大なタコの触手になったことだ。
これは悪魔超人7人が翌週に数名の姿が変わってたぐらい???なことで、伸ばす距離にも限界が無いのか(飛行機も落とした)、人を貫けるのはゴムゴムみたいに能力を鍛え上げてできるようになったのか、序盤でイガグリの能力とか言ってたのになぜ急にタコなのか…
どう考えてもおかしいわけだが、これはSPECホルダーの定義がぶっ壊れただけじゃなく、刑事VS犯人という構図だった物語が単純な能力バトルに変えられてしまった。
しかも伊藤淳史が本人役で出てることがスベってる上に、平然とまとめて10人とか殺しておいて、俳優の伊藤淳史です、みたいに普通の人間のような立ち振る舞いしやがって。
そして浅野ゆう子(マダム陽・陰)も同じく、能力が派手過ぎ。
ミイラにされた件も双子の浅野ゆう子が氷と炎を同時に放出してフリーズドライ製法の原理でカッサカサにするというもの。…それなら1人で砂で水分を吸い取るとかでよかったんでないの?
だいたい天の悪役3人組(神木・伊藤・浅野)は堂々とし過ぎだし、ふざけ過ぎだし、警察も能力がばれることも恐れていない。
ドラマでは街の中に紛れ込んで能力を使った証拠も残さないようこっそりと犯罪を行っている敵を相手するのがおもしろかったになぁ。
伊藤淳史やマダム陽が犯人だと当間たちが刑事である意味がなく、妖怪大戦争みたいだった。
あとこれは翔の時からだが瀬文の能力(打たれ強さ)もおかしい。
歯を口から息で飛ばして人間の額にめり込ませた時は完全にSPECが目覚めたものと思ったが、素の能力だった上にSPEC否定派だった…。
天でも凍りついた足を皮ごと剥がれるの覚悟で引っこ抜いたり、全身に銃弾やら釘やら受けても何とか生きていたり、気合とか根性だけで重症でも動けたり異常に生命力が強いのはただ単にそういう役どころだったらしい。
それからドラマ版で数多くの謎を残していた津田助広(椎名桔平の)正体も思った以上にしょぼかった。
たくさんの津田は全部影武者で挙動がおかしかったのは影武者の中に裏切り者がいたから。ただそれだけ…。そして最後は爆弾を体につけて敵の屋敷ごと爆破!次回作からの出演があるのかどうかは今の段階では分からん。出番なしだったらあれで死んだってことか。
映画天の中でも新たな謎をキーワードで残していて
ファティマ第三の予言、シンプルプラン、御前会議、ゴエティア、セカイという神のような能力者、ソロモンの鍵、などという壮大なストーリーそうな言葉が出てくるが正直それほど天からの続編に興味が持てない…。
そもそも日本のドラマが続編で映画にするってロクなことがない印象しかない。最初にその流れを作ったのは踊る大捜査線だったろうか…。毎回、同じ2時間ならスペシャルドラマでいいのに映画にする必要あんだろうか?と思ってしまう。
SPECもドラマ終わってからの続編がここまで長いのなら素直にSPEC2やっとけばよかったのにね(まあ映画やっとけば興業的に儲かるのかもしれないけど…)
今のとこ天まで見た時点では堤演出にも大味すぎるストーリー展開にも食傷気味ですぐに続きを見たい気持ちにはなれていない。(もう借りちゃってるから5日以内には見るけど)
やっぱりSPECは連続ドラマ版の世界観が好きだった。というかあそこまでは許容範囲だ。犯人の姑息さが好きだったし、異常な能力であっても現実的な出来事として見ることができたからね。
そういえばタコの足と炎と氷の攻撃はダメだったけど当麻の左手の死者召喚は許容できてなぁ。要するにCGをフルに使った過剰な演出が苦手なだけなのかもしれませんなぁ…。