依頼人は人気の暴露系動画配信職人タジミンこと多治見一善(柿沢勇人)。
生配信をカメラで撮影しながらネメシスに依頼に来た。
テレビのニュースではタジミンと若手女優の久遠光莉(優希美青)が車内で覚せい剤を使用してると思われる動画が流出。しかし、覚せい剤などやってないと主張するタジミン、動画は偽装されたフェイク動画たという。
そして腕時計の形をした盗聴器を探し当てる機械を使い、事務所の中を調べてみせるのだった。
以来の内容は光莉が昨日から行方不明なので一緒に探してほしいという。
2人がやりとりしたLineには、フェイク動画でハメたやつに心当たりがあるから話をつけてくると書かれていた。
風真尚希(櫻井翔)がハメた人物に心当たりがあるか聞くと、タジミンはジャーナリストの神田凪沙(真木よう子)だと言う。
タジミンと光莉は、ニュース番組でコメンテーターをしていた。
その番組で神田凪沙の取材した事件の報道が虚偽のものだったと分かり、2人は謝罪し番組を自ら降板。
さらに光莉は虚偽の報道をした神田凪沙を自身のSNSで叩き大バッシングさせた。その結果、神田凪沙は番組をクビになりジャーナリストとしての信頼を失った。
そのことを逆恨みしてフェイク動画を使い2人をハメようとしたのではないかという。
風真とアンナ(広瀬すず)がタジミンと訪れた撮影スタジオに現れた神田凪沙。
光莉を監禁しているんじゃないか?とカメラを向けて問い詰めるタジミン。
スタジオを出ると、薬物の検査の結果が届き、結果は陰性。
さらに天才のAI開発者・姫川(奥平大兼)がAIを駆使してタジミンの覚せい剤動画を解析したところ、やはり別人に光莉の顔を合成させたフェイク動画で間違いないと連絡が入り、タジミンが覚せい剤を使っていないことはすぐに証明された。
ひとり独断で神田凪沙と話すため会いにいったアンナ。
帰宅した後に姫川が事務所を訪れてきて、このAIの解析結果に気になるところがあると指摘するのだった。
ここでアンナは事件の真相を知るため
「わたしちょっと入ります」
と自分の見てきたものを違う角度から見る能力を使い、事件を一から洗っていく…。
翌朝の7時、事務所を訪ねてきたタジミン。
風真は徹夜で光莉が監禁されてそうな所を探し回っていたそうで、へとへとの様子。
その時、タジミンに届いたメールで、監禁されている光莉を撮影した動画が送られてきた。その中に映っていた工場の名前から場所を特定し、医師である黄以子(大島優子)の車で現場へと急行する風真とタジミン。
工場の中を探していると、突然高いところから大きなものが落下した音がした。急いでその方向へと駆け寄ると、上から落ちてきたと思われる大きな麻袋が…。
開けてみると中には額から血を流している光莉。黄以子が検死をするとすでに死んでいるという…。
その時、建物の上の方で物音がし、カメラを回しながら急いで駆けつけるタジミン。
だがそこには人影がなく、薄暗い部屋には転がるドラム缶にロープ、そして水浸しの床…。すると不意に人影が現れ捕らえられるタジミン。もう一人そこに現れたのは、あの神田凪沙。
押さえつけられたままタジミンは、凪沙に大きな麻袋を頭から被せられてしまうのだった…。
第6話 感想
今回のストーリー展開はここまでの6話の中でも1番いい出来だったと思う。
話の進行に無駄も無理も少なく、チームとしてネメシスのそれぞれが機能していたように思えた。
まあその分、容疑者も少ないので犯人に意外性がないのはしょうがない。あっちが犯人じゃなかったらこっちか、って感じなので。
それでも途中まで、神田凪沙のほうが悪い奴だと錯覚させるようなミスリードの演出もしていたし、解決編の展開自体に大きなどんでん返しが作られていたので、意外性は十分にあったと思う。
そう、アンナの「入ります」がいつもより早い中盤で来ていたので、早い段階で犯人の思惑に気付いていたのだが、それを逆手にとってハメてやったのが風真たちだった、という面白さがあった。その真相解明編もかなり前まで遡って、回想シーンで風真たちの行動を追うかたちになったが、登場人物も最低限しかいないためテンポもよく、過去作と比べても一番おもしろい解決編だった。
犯人の使ったトリックも、ドラム缶を使いみずを入れて穴を開けることで、自動的に倒れてロープが外れ落ちるという時限装置。
これも面白かった。
時間通りにそこに居合わせるのは相当運が良くないと無理だろと思ったけど、風真を指摘した通り落ちた場面に立ち会えたらラッキー、きっと落下した時にその場にいなかったことが証明されるだけでも十分と考えたのかもしれない。
そしてここも見てる側は演技だとは思わないので、視聴者は上手く騙されたんじゃないだろうか。
と、ストーリー展開やトリックやネタ晴らしは、このネメシスで初めて質の高いミステリーを感じられた。
ただ、だからこそ…
どうなんだ、あの最後の大きなトリックは。
確かに大きな驚きはあったが
「はい、実はここはスタジオに作ったセットでしたー」
ていうのは、失敗するリスクもありそうだし、本当に犯人にも全く気付かれない精巧なセットが一晩で作れるのか??そこにはどうしたって引っかかってしまう。
そこまで大掛かりじゃなくとも
最期もネメシスだけで証拠を押さえて、という方がスマートですっきり終われたような気もしてしまった…。
だけど、犯人との騙し合いから逆転はたしかに気持ちよかったので、十分たのしめるミステリーだったかなぁと思います。